2017/04/10
そして今日2本目の録音は、若草恵さんのアレンジで、やはり天童よしみさんの録音が2曲。基本の編成は、ドラムに先ほどと同じくそうる透さん、ベースに長岡道夫さん、フォーク・ギターに安田裕美さん、エレキ・ギターに角田順さん、ラテン・パーカッションに菅原裕紀さん、ピアノに松田真人、三人の女性コーラスの皆さん、杉野裕さんのストリングス・セクション、そしてマニュピュレーターに丸尾稔君です。
1曲目は「終りなき旅〜人生一路」と言う曲で、テンポが132でキーがE♭の曲。この曲では基本の編成に、平原まことさんのサック他ブラス・セクションの皆さんが加わりました。実は、午後2時からの最初の録音が予定通り午後3時頃に無事に終わってから、次の若草さんアレンジの録音が始まる午後7時まで、大分時間が空いてしまったので、ドラムの(そうる)透さんとベースのミッチさん(長岡道夫さん)と三人でスタジオのロビーで談笑をしたりテレビを見たりしていましたが、午後5時頃になると、早々とまずギターの安田さんがいらっしゃって、更にはマニュピュレーターの丸尾君も登場。その際に丸尾君が「先生!(「先生」とは僕の呼び名です)、1曲目に難しい曲があるんですが・・・」と早速、恐怖の一言!(笑)
若草さんのアレンジは、何回かに一度は難しい書き譜があるので、今日もそんな感じかな?と思ったら、丸尾君が、取り急ぎ持参したスコアのコピーを見せてくれたので、僕はスコアに書かれているピアノのパートを見ながら、丸尾君の説明に耳を傾け、更には丸尾君のスマホでそのデモ音源のようなものを聴かせて貰うと、これはなかなかの難易度の高そうな雰囲気。そしてこの曲は、天童さんがライブで歌っていらっしゃる曲との事で、最初の導入部がまずピアノで始まりその後すぐに歌が入り、そこから天童さんの歌とほぼピアノのみで12小節間あり、その12小節間はそれこそ1小節毎にテンポが変わると言う変則的な内容。そして一カ所で、カデンツア風な細かいフレーズの書き譜もあります。そしてそのテンポ変化に付いては、天童さんのライブ音源からテンポを割り出してクリックを作ったとの事。これから始まる録音の段取りとしては、僕は1小節毎にリタルダントやアッチェランドなどでテンポが変わるクリックを聴きながら、同時に天童さんの歌を聴きながら演奏をすると言う録音。これは大変そうです!
とにかくその1小節毎にテンポの変わる感じを実際に知りたいので、先ほどの井上さんアレンジの楽曲に仮歌の録音をされていた天童さんの歌入れが終わると、すぐにピアノのブースに入り丸尾君とヘッドフォーン越しにコミュニケーションを取りながらクリックのテンポ変化を聴いて、僕は写譜屋さんが書いた譜面を見ながら実際に弾いてみる事にしました。すると通常の4分音符のクリックだとテンポ変化が分かりにくいので、小節毎にテンポ変化が分かりやすいクリックに変えてもらうように丸尾君にリクエストをしました。例えば、3連のノリのところは3連のクリックで、そしてポーズで音を伸ばしているところでは、一度クリックを無くして(消して)貰い、次の小節に向けてクリックを2発位鳴らして貰って次の小節の頭が分かるようにする等。この作業をして貰わないと、現場で対応するのはかなり難しいように思われましたが、丸尾君にクリックの打ち込み方に対して僕の希望を伝えて色々とやり繰りをして貰った事で、一応難しいテンポ変化に対応が出来るようになり、何とかこの状況で本番を迎える事になりました。
そして午後7時からその「終りなき旅〜人生一路」の録音が始まり、まず最初に若草さんからその点に付いての説明がされた後「とにかく一度音合わせをしてみましょう!」と言う流れになりました。そして天童さんに仮歌を歌って頂きながらミュージシャンの皆さん全員による最初の演奏が行われると、録音が始まる前に丸尾君とクリックに付いて色々とやり繰りをした事もあってか、一度目の音合わせ(録音)でその難易な箇所に付いても無事に弾き切る事が出来たのです。そしてこのテイクを一度聴いてみる際に、僕から若草さんに「最初の部分に付いては、上手く弾けたので、出来ればこのテイクを生かして頂けないでしょうか?」とお願いをさせて頂くと、若草さんも分かって下さっていたようで、しっかりと頷いて下さり、この難しい部分に付いては、一度目のテイクでクリアする事が出来たのです。これは本当に良かったです!
そしてその後は、テンポ変化の激しい導入部以降から全員で録音する流れになり、それも無事に終える事が出来ました。
2曲目は「終りなき旅」と言う1曲目と少しタイトルが被さりますが、全くの別な曲。テンポが71でキーがE♭の曲。この曲では、オーボエで石橋雅一さんやティンパニの方が加わりました。こちらの曲でもイントロやブリッジ等にピアノの書き譜がありましたが、先ほどの曲に比べると大分弾きやすい感じがしました。そして曲調は、感動的なバラード。更にはこの曲でも天童さんの仮歌が素晴らしかったです。僕は特にこの曲の天童さんの歌声が「グッと」来ました。歌が素晴らしいと、伴奏をしていても、どんな感じで伴奏をすれば良いのか自ずと分かるような、そんな気持ちになってピアノを弾けるような感じがして、弾いていても気持ちが良くなります。そしてこちらの曲も予定通り無事に終了。
録音終了後には、天童さんが若草さんを初め、ミュージシャンの皆さんや、そして僕にも、今日、素敵な仕上がりで録音を終える事が出来た事に対する感謝の気持ちを述べられていらっしゃいました。勿論僕からも、天童さんの歌声が素晴らしかった事をお伝えさせて頂いたのは、言うまでもありません。とにかく今日の仕事も、無事に終える事が出来て本当に良かったです!長文、失礼しました。