2017/06/05
今日は、若草恵さんのアレンジで、香西かおりさんの録音が1曲ありました。編成は、ドラムに長谷部徹君、ベースに長岡道夫さん、フォーク・ギターに安田裕美さん、エレキ・ギターに角田順さん、ラテン・パーカッションに浜口茂外也さん、ピアノに松田真人、そしてマニュピュレーターに丸尾稔君です。僕は録音開始時間の30分位前にはスタジオに到着しましたが、他のミュージシャンの皆さんは既に到着済みで準備万端。僕は早速ピアノのブースに入り譜面台の上に置かれている譜面を確認します。するとイントロやAメロ、更にはブリッジ等、書き譜が色々と記されています。
曲名は「心の翳(かげ)」と言う、テンポが74のキーがFマイナーの曲。特にイントロの書き譜は、左手が8分音符のアルペジオで右手は歌うようなメロディが書かれていますが、2カ所で、細かくて速い駆け上がりや駆け下りるようなフレーズが書かれています。このようなフレーズだと指使いを考えなければ、上手く対応が出来ません。早速、その辺のところを考えます。そんなところに若草さんが来て下さり、ピアノの雰囲気に付いてアドバイスがありました。
そして最初の音合わせが終り、次に香西さんに仮歌を歌って頂くと、若草さんから「(済みませんが)一音上のキーで1コーラス、やらせて下さい」と声が掛かり、つまり今、目の前に置かれている譜面のキーはFマイナーですから、それに対して一音上のキーだとGマイナーです。僕も内心で「これは大変だ!」と、そして少しでも早く対応出来るように気合いを入れて弾きますが、流石にイントロ等の細かく書かれてい音符を全て正確に弾くのは、すぐには対応出来ません。
そして更に「今度は、半音上のキーでやらせて下さい」と声が掛かり、これは香西さんが一番歌いやすいキーを最後の最後で詰めて行き、本番の録音に臨みましょうと言う事のようです。このように録音の現場で、最終的なキーの変更がある事は年に一二度、これまでにもありました。そして香西さんに歌って頂きながら、GマイナーとF♯マイナーの二つのキーでやってみて、この直後に僕は、半音上のF♯マイナーのキーの方が、少しでも早く対応が出来そうな感触でしたが、結局一音上のGマイナーのキーに決定。流石にこればかりは仕方がありません。
いよいよ始まる本番録音に際しても、精一杯集中をして演奏に臨みましたが、やはり上手く弾けていない箇所が色々と出て来たので、僕だけ居残りをして部分的な演奏のやり直しをやらせて頂く事にしました。兎に角、Gマイナーのキーに感覚的にも慣れる事が大事なので、一番難しいと思われる書き譜のあるイントロは、最後にやらせて頂く事にして、まずは歌中のバッキング等からやり直しを行いました。そして最後にイントロにトライをして、二度、三度位トライをさせて頂き、ちょっと時間(2、30分位)は掛かりましたが、何とか無事に終了。ピアノの録音の後は、部分的にトイ・ピアノのシンセの音色で、イントロやブリッジをダビングして、今日の録音を無事に終える事が出来ました。
キーの変更が出た際には「これはちょっと大変だな」と思いましたが、今日も無事に終える事が出来て、安堵をしています。香西さんの力強い歌声にも感化されて、気持ち良くピアノを弾く事が出来たようにも思います。そうそう演奏を無事に終えてスタジオのロビーに出ると、今リズム隊で録音をしたオケにダビングをする予定のリーダーの杉野裕さん他、ストリングスの皆さんが控えていました。そしてキーの変更が出た事で、ストリングスで使う譜面の書き直しを関係者の方が始めているところでした。色々と御苦労様です!